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舵の下部にある収納が俺の仕掛け置き場だ。
木製の古い枠に巻き付けた三本針の仕掛けを並べ、沖を眺めた。
明日は、船を出せるかもしれない。
赤潮が薄れてきているのがわかった。
海面下の見えない獲物とやり取りしてる瞬間だけが、胸の好く時間だ。
道具箱を仕舞おうとして、ナットが一本紛れているのに気付いた。
どうりで重かった訳だ。
機関室脇にある小さな扉の奥が工具入れになっていた。
蝶番を外し、中にナットを入れた。
ぐしゃり…と音がした。
木の板の上に置いて何故こんな音がするのだろうか。
狭い隙間に手を差し伸べてみたら、黄ばんだ封書が出てきた。
宛名はなく、裏にも何も書いてはなかった。
なんだろうかと、艫に腰掛け、丁寧に糊付けされた封を開けた。
汗をかいた首筋に初夏の風が吹き抜けた。
手紙が風に煽られ、がさがさと音を立てた。
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