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「いやぁ、麗しき女学生がおふたりとは! 華があって良いですなぁ」
「ささこれを、ささこちらに」と大きめなタオルを渡され、
友人共々上り框横に備えられたカウンターへと進められ、
お茶を貰っているという、このなあなあな現状。
「あはは~おじさま面白いですね~!」
「アハ、はは」
何故かすっかり打ち解けている様子の友に倣い、何とか作り笑いを浮かべる萩花だった。
骨董品店らしきこの店の店主を名乗る狐目の男は一目見るからに怪しげであり、
仰々しい身振り手振りを交えた語り口は妙に間延びした印象を覚える。
――同属意識、みたいな?
語尾の伸びがちな友人を横目に、萩花は出されたお茶に口を付けた。
「……おいしい」
「それは良かった」
今の今まで友人と話を弾ませていたはずなのに、萩花のほんの小さな呟きへと店主は返答をしてきた。
驚いて顔を上げれば、細い目をさらに細めて微笑む男と目が合う。
――ふと、えもいわれぬ感覚を抱いた萩花だったが、
「ホント温まって良い感じです~」
「それはそれは。そうだ、茶菓子もお出ししましょうかねぇ」
「わ~い!」
とすぐさま友人に向き直った店主の様子に、微かなその違和感も分散していった。
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