君の分まで

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次の日、部室の何時もの指定席に座り、作業に勤しむ事数分。 ガラガラとドアがスライドし、入室者と目が合う。 彼はいつもの定位置を通り過ぎ、ぐるりとテーブルを回って何故か私の直ぐ隣に腰をかけた。正直近い。心臓の音が聞こえたらどうしてくれるんだろうか。 「なんでこっちに座るのよ」 「空ちゃんがこっち座って欲しそうだったから」 と隣で緩みきったいつもの笑顔を浮かべる。 「別にそんな事言ってないでしょ!」 私は当分素直になれそうに無い。 でも今はそんな私も嫌いじゃなかった。
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