君の分まで

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初めてこの顔を見たのもこの公園だった。 初めてみんなで撮影会として集まった公園で写真を撮って、その時まではフワフワしてシャキッとしないな、とか、男らしくないな、とか思っていた私の思いは一蹴された。 真面目さと楽しさと紳士さと、本当に今が楽しいんだろうなと直ぐに察せられる笑顔にドキリとさせられた。 そして今も私は自分が写真を撮るのより、彼の撮っている姿を見ている比率の方が多くなっていた。 きっと学校の女の子達は知らない笑顔。私だけが知ってる笑顔。 あのラブレターの子と一緒に来たら、彼女もこの顔を知ってしまうんだろう。 知られたくない。 そんな卑しい気持ちが頭によぎり私は頭を振った。
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