君の分まで

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不意に走ってる腕を後ろから引き寄せられた。 思わず抱きしめられる形になる。 「なんで、なんで追いかけて来るのよ……佐藤真」 顔を上げると間近に写真を撮るときの真剣な笑みがある。 「ちゃんと、あの子の告白は、断ったよ。『僕には好きな人がいるから』って、僕、空ちゃんの事が好きなんだ」 走って、上がった息と『好き』という台詞が私の耳を私の体温が走った以上に上がる。 「私なんて、自分勝手でワガママで、素直じゃないし、可愛くないし、ショートカットだし、メガネだよ?」 「空ちゃんは自分の事嫌いなの?」 と問われれば私は素直に首を縦に振る。 そして彼は間を少し開けて話し出した。 「僕は景色の中で空が一番好き。」
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