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その後は他の部員も来て談笑や次の撮影場所や時間の話をして。
結局彼はいつも通りだった。ラブレターの返事はどうするんだろうか。
思考の片隅には常にそんな事を考え、私の目は無意識に彼の姿を追っていた。
私は自室のベッドに制服のまま突っ込む。
『こ、これ!佐藤君にわ、渡してもらえないでしょうか?!』
黒髪の長いストレートで大和撫子という言葉が似合いそうなおしとやかな子。
きっと彼と並んで歩いても絵になるだろう。
私なんかと違って。
フられてしまえばいいとか、
彼が私だけを見てくれるようになればいいとか、
そんな自分勝手でドロドロした願いだけが胸の中で渦をまいて。
「私って最低だ……」
と口から漏れた言葉は夜の闇に飲まれた部屋の暗闇に溶けた。
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