君の分まで

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「あれ?空ちゃん泣いた?」 そう指摘されたのは次の日の放課後の事。 部室に入って目が合った瞬間だった。 お母さんにもクラスの友達にもバレなかったのになんで!? 「なっ、泣いてなんかないわよ!そもそも泣く理由が分からない!」 と言いつつメガネを直すフリをしながら目元を隠す。 「そっかぁ。そうだよねぇ」 とニヘラと緩んだ笑みを浮かべてカメラの整備に戻る。 私は定位置から一つ離れた席に座った。 昨日、なんだか情けないのとか悔しいのとか、そんな胸の中をぐちゃぐちゃにした感情が一気に溢れ出して、泣いた。 鏡見ても殆どいつもと変わらないのになんで気付かれたんだろう。
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