君の分まで

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そもそも、やつがあんな手紙もらわなければ私が昨日泣く事なんてなかった。 そう、全ては昨日ラブレターなんかもらったやつのせいだ。 と、そこまで考えて私は責任転化する自分に嫌気がさす。 心中でため息を吐き、彼の方を見ればいつもと変わらない眠そうな表情で作業に戻っている。 ラブレターへの返事、聞いたら教えてくれるだろうか? 「「あの」」 と、声をかけると向こうからも声をかけられる。 「なによ?」 「え?空ちゃんの方こそ、どうしたの?」 「私の方はいいからあんたの要件を話しなさいよ」 「うん、あのね。明後日の日曜日、二人で撮影に出かけるとかどうかなぁって」 と緩みきった笑顔に心臓が跳ね上がるのを感じる。
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