七年前のプロローグ

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今日も、組み手をする。ハッキリ言うと、飛鳥は弱っちい。軽く小突いただけで倒れる。 普通の子ならそこで終わり、もう私とは目も合わせてくれなくなるけど、飛鳥は違う。 何度でも立ち上がり、私に「もう一本だ、次は絶対勝つ!」と言ってくれる。その言葉が、凄く好きだった。 今日の稽古の時間が終わった。友ちゃんがなんとか理論で楽しい時間はすぐ無くなっちゃうんだよ!と言っていたのを思い出す。そうかもしれない。 でも、まだ終わってない。お話が残ってる。 片付けも終わり、道場には私達だけが残される。 早速今日あった事を話そうとして、飛鳥に待ったをかけられた。 「よし、今日は親父さんはいないな」 キョロキョロしながら、飛鳥は言う。 パパはいつも稽古が終わったらお部屋に戻るって知ってるのに、何でそういう事を言うんだろう?飛鳥って、変だね。 「ねえ、時間も無くなっちゃうし、お話しようよ」 もう六時半を回ってる、後三十分しか無いんだから。 「いや…、今日は大事な話しがあるんだ。聞いてくれるか?」 普段のボーっとした表情じゃなくて、真剣な表情で飛鳥は私を見てきた。 何だろう、もしかしてもう来れないとか、言わないよね? 私の不安はすぐに拭い去られた。 「俺…、晶の事が、好きだ!」 道場内に、飛鳥の声が響いた。
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