七年前のプロローグ

7/10
前へ
/38ページ
次へ
「ハァ…」 昼休みも終わり、今は掃除の時間。友ちゃんは色々話してくれたけど、飛鳥の事は騎士君の友達という事しか解らなかった。 思い返せば飛鳥は学校の話しはあまりしなかった。 「でも…」 箒の柄を握りしめる。希望はある。その騎士君に聞けば飛鳥が何でおかしかったのか、わかるかもしれない。 勝負は放課後。飛鳥が居なかったら騎士君に飛鳥について聞くんだ! 私は一人、決意した。 やってきた放課後。今日は友ちゃん達とはお喋りをしない、すぐにクラスを飛び出す。友ちゃんには予め説明してたから、引き止められずにすんなりいけた。 飛鳥の教室を覗く。壇先生が出て行ったばかりで生徒達は皆残っていたが、飛鳥の姿は無かった。 残念と思う反面、ホッとした気持ちもあった。今日は飛鳥の姿を全然見なかったから。 学校では飛鳥と話す事はなかったけど、見かける事は多かった。ふと気付くと休み時間に廊下から教室を覗いていたり、昼休みに外で遊んでいたら木陰から見ていたりした。だから、安心。病欠なら避けられていたんじゃないと言い訳ができる。 今日はもう、帰ろっかな…。 決意が、揺らいだ。 飛鳥はインフルエンザで学校を休んでも、マスクをして来てくれた。今日が病欠なら、家で待ってるのがいいんじゃないか?と考えて。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

460人が本棚に入れています
本棚に追加