七年前のプロローグ

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「飛鳥とは、一体どんな関係?」 騎士君からの質問。私と飛鳥の関係は…。 「道場に一緒に通ってる。…それと友達、かな?」 最初の説明だけじゃしっくりこなかったから、付け足した。でも、まだしっくりこない。 「やっぱりか、ハァ…。アイツ、完全に約束を忘れてるな。薄々気付いてたけど」 「約束?」 「いや、こっちの話だよ。それで、中宮さんは飛鳥の何が聞きたいの?」 騎士君は爽やかな顔に戻り、聞いてきた。私の聞きたいこと…。 「飛鳥が今日、何で休んだか知ってる?」 言ってから、自己嫌悪に襲われた。それすら知らないで飛鳥を一番知ってるなんてよく言えたな、私。 「飛鳥は…、そうだね、五月病みたいな物だよ」 「五月病?」 聞いたことはあるけど、内容は知らない。 「えっと、心が不安定になる病気だよ」 「それじゃあお見舞いに行かなきゃ!」 だからあんなに元気が無かったのか。 「待って!その病気は、放っておいた方がいいんだ。下手に刺激すると良くないよ。…飛鳥に気付かれるのも都合が悪いし」 そっかあ。五月病ってそういう病気なんだね。 「これから帰るんだよね、送るよ。飛鳥の情報交換でもしないかい?」 「う、うん…」 それから毎日、騎士君は私に優しくしてくれた。 不思議な気持ちになったから、友ちゃんに相談した。 「それは恋だよ!」 断言された。これが、恋。 その日々は、二週間程続いた。
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