七年前のプロローグ

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飛鳥は、まだ来ない。 最初は騎士君にちやほやされて浮かれていた私だけど、危機感を感じていた。 初めは飛鳥との情報を交換していたけど、騎士君は最近では遠くの妹さんの話しかしない。飛鳥が今、どんな状況か解らない。 もしかすると、もう二度と学校に来なくなるんじゃないかと思ったら、いてもたってもいられなくなって飛鳥の担任の壇先生に相談した。 「よし、これが天川の住所だ!行ってこい!」 あっさり住所が判った。簡単に教えすぎじゃないですか? 「アイツが問題をおこさんと学校が詰まらんからな!」 やっぱり、変な先生だ。 放課後、住所を頼りに町を歩く。飛鳥の家はもうすぐだ。 飛鳥の家に行って、何を話そう。今までのこと?飛鳥がいない間に起こったこと?飛鳥の友達の騎士君と仲良くなったこと? …いや、駄目だ。もっとインパクトのある事じゃないと。 私がずっと悩んでたんだ、飛鳥もずっと悩むようなことを言ってやろう。そうしよう。 天川の表札が掛けられた家の前に着いた。 インターホンを押す前に、一度深呼吸する。 考えなしに来たけど、よく考えれば男の子の家に入るのは初めてだ。 だから、このドキドキがその所為でどんどん酷くなっているのかは、解らない。
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