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飛鳥は、まだ来ない。
最初は騎士君にちやほやされて浮かれていた私だけど、危機感を感じていた。
初めは飛鳥との情報を交換していたけど、騎士君は最近では遠くの妹さんの話しかしない。飛鳥が今、どんな状況か解らない。
もしかすると、もう二度と学校に来なくなるんじゃないかと思ったら、いてもたってもいられなくなって飛鳥の担任の壇先生に相談した。
「よし、これが天川の住所だ!行ってこい!」
あっさり住所が判った。簡単に教えすぎじゃないですか?
「アイツが問題をおこさんと学校が詰まらんからな!」
やっぱり、変な先生だ。
放課後、住所を頼りに町を歩く。飛鳥の家はもうすぐだ。
飛鳥の家に行って、何を話そう。今までのこと?飛鳥がいない間に起こったこと?飛鳥の友達の騎士君と仲良くなったこと?
…いや、駄目だ。もっとインパクトのある事じゃないと。
私がずっと悩んでたんだ、飛鳥もずっと悩むようなことを言ってやろう。そうしよう。
天川の表札が掛けられた家の前に着いた。
インターホンを押す前に、一度深呼吸する。
考えなしに来たけど、よく考えれば男の子の家に入るのは初めてだ。
だから、このドキドキがその所為でどんどん酷くなっているのかは、解らない。
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