プロローグ アナザー

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……………ハッ、あどけない天使の寝顔に見とれていたらしい。と言っても三十秒程だが。 枕元に置かれたウサギ型の目覚まし時計は七時半を指している。狂っているようだ、恋が不便しないように後で修正しておこう。 「恋、もう起きて。朝だよ」 肩を揺する。恋は素直でいい子だからこれだけで起きてくれる。 「んゅ…」 目を擦りつつ恋は体を起こした。 かっ、可愛い!飛鳥なら「この顔見たら白米三杯はいけるっしょ」とか馬鹿な発言をするんだろうけど、僕は異を唱える。 丼十杯は余裕だろ、普通に考えて。 「お兄ちゃん…もう朝なの?」 「ああ、そうだよ。ホラ、もう七時半だ。起きた起きた」 さっきの表情も含め、今の小首を傾げる表情も脳内保存。脳内SDにもコピーしておこう。 目覚ましを見てビックリしたようだ。飛び起き、新品の制服に手をかける。狂った時計も役に立つ。 そして恋は着替え…ださない。 「お兄ちゃん…出て行ってくれないと、着替えられない…」 そうだった、僕はまだ部屋の中にいたんだ。これは気付かなかった。チッ。 しぶしぶ…間違えた、取り敢えず部屋を出る。あっ、そうだ 「恋、今日の朝ご飯は何だと思う?」 去り際に聞く。日課となる質問だ、これで恋が食べたいものが解る。因みに僕が用意したものは的中率百%を誇る。 「うーんと、ご飯と味噌汁かなぁー?」 「正解だよ」 日本人の朝はそれしか無いよね!さらば、トースト。
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