プロローグ アナザー

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リビングのソファに腰掛け、まずは休み中の近況報告。話に花を咲かせる。 場も暖まってきた所で、本題を切り出した。 「ハハッ、それもそうだね。…話は変わるけど、飛鳥の件で…」 言い切る事は出来なかった。何故なら先程まで借りてきた猫状態だった中宮さんが、勢い良く喋り始めたから。 「そうだよ!飛鳥だよ!アイツ、休み中ずっと電話にも出なかったし、道場にも来なかった!しかもさ…」 雄弁に語る中宮さん。 君ってさ、いつも大人しいけど飛鳥の話になると、凄く元気になるよね。都合がいいから教えないけど。 ツンツンと、肘をつつかれた。振り返ると、悪戯っぽい笑みを携えた笹川さん。 「教えてあげないの?」 「…何の事かな?」 惚けて見せた。 笹川 雪。彼女は僕の本性に感づいているらしい、要注意だ。目的までは気付いてないようだが。 ふうん、へえ。あれから五分程経ったが、中宮さんの話は終わらない。聞けば、出会いの頃まで話が遡っている。 あの頃からあれがダメだった、これがダメだった、と続けているが、正直欠伸が出そうだ。 恋の話なら百時間でも飽きない自信があるが、飛鳥の話はしょうもない事ばかりだ。二秒で飽きた。 飛鳥に遭わないように時間を遅らせてきたから、もう時間もあまりないが、恋が楽しそうに聞いてるので止めはしない。 「…何だよ!ホントに飛鳥って、ダメだよね!………ところでさ、皆に相談があるんだけど…」 話もやっと一段落したらしく、唐突に問いかけてきた。 「あのさ、作戦会議で飛鳥を一日無視して最後に皆で説教しよう、って決めてたじゃない?」 「そうだね、それがどうかしたかい?」 恋と笹川さんも頷いている。問題でもあったのかな? 「あれ、やっぱり最後は私一人に任せてくれないかな?」 それは聞き捨てならないな。
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