プロローグ アナザー

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「それは駄目だよ、中宮さん」 当たり前だ。皆自分がやると言い張って決まらなかったから、妥協した。それを今更覆す道理など、無い。 「そうよ、私達だってそうしたかったけど我慢してるんだから」 「そうです、そうです!」 笹川さんも反対、恋は頬を膨らませてプンスカ怒っている。くそっ!デジカメを用意しとくんだった! 「いやっ、そのさ、どうしてもアイツが許せなくて…。私が一番怒ってるんだし、私が説教するのが妥当でしょ?」 それも聞き捨てならないな。 僕はともかく、恋は休み中ずっと飛鳥と連絡がつかなくて、不機嫌だった。そう、僕は休み中、恋の笑顔を見ていない!!!! この怒りに勝るものなど無い。その理屈なら奴に天誅を下すのは、僕だ。 立ち上がり反論しようとしたが、笹川さんに先手を取られた。 彼女は挑戦的な笑みを浮かべ、言った。 「へぇ、面白い冗談ね。私が全然怒ってないとでも?」 恋も続いた。 「私だって…、怒ってます!」 我が家のリビングは、たちまち泥沼と化した。 決着のつかない応酬が続く。頑張れー、恋。僕は君を応援してるよ。 決着もつかないまま時間が過ぎ去ったので、最終的にはジャンケンで決めることになった。 結果は…言い出しっぺの中宮さんが勝利。 くそっ、何故僕はグーを出さなかったんだ!せめて恋に勝たせてあげたかったのに!
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