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本格的に時間が危ないので、飛び出すように家を出る。
駅に駆け込み、ギリギリ遅刻しない時間の電車に間に合った。
時間がギリギリ過ぎた為か、他の生徒の姿は見えない。
「ふぅー、危なかったねー!」
陽気に中宮さんが言う。ジャンケンに勝ってから、機嫌が良い。
「そうね…」
陽気な中宮さんとは対照的に、沈んだ声で笹川さんは言った、恋も同じくだ。全力疾走した疲れも相まっているんだろう。
景色(恋)を暫くボーっと眺めていると、千里高校前~とアナウンスが響いた。全員降りる準備をする。
駅に付き、降りる。
ここまで来ればチラホラと他の生徒の姿も見えだした。
チラチラと視線を感じるが慣れたものだ、全員無視。
桜並木を並んで進む。僕はよく飛鳥が言うところのギャルゲー展開に巻き込まれるが、今回はそんな事も無…あった。
焼却炉に、頭を突っ込んでいる女子生徒がいる。助けるべきか?
…いや、時間もないし、見なかった事にしよう。
講堂へ向かった。
飛鳥に見付からないよう、出来るだけ端の席に座る。恋達は、始業式中ずっと周囲をキョロキョロしていた。飛鳥を探していたらしい。
始業式後の奇怪な行動ですぐに場所が判った。
まったく、飛鳥らしいね。
クラス分けの紙が貼られた掲示板の前で、ネタばらしをする。どうせ名前を確認されたら解ることだし。
飛鳥の後ろ姿を見つけた。相変わらず馬鹿っぽそうだ。
さて、なんて声を掛けたら一番嫌がるかな?
僕は、無意識の内ににやけていた。
僕達の物語は、ここから再び動き出す。
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