七年前のプロローグ

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今日は、道徳で友達の大切さ、という内容の授業があった。 差別を受け、虐められていた女の子を主人公である女の子が庇い、苛めに遭う。 心が疲れて不登校になった主人公を救ってくれたのは、助けた女の子だった、というビデオ。 クラスの皆も静かに見ていて、私も最後は涙ぐんでいた。 授業が終わり、教科書を片付けていると親友の友ちゃん(エア友達ではない)が走ってきた。 「晶!私達、ずっと親友だよね!大好き!」 涙ながらに語る友ちゃん。友ちゃんは感化しやすい子だから、ドラマとかにもすぐ影響される。 「うん!そうだよ!私達、ずっと友達!私も大好きだよ!」 偉そうに言ったけど、私も同じだった。 放課後、友ちゃん達と別れ、家路につく。 ちょっと前から、道場に行くのが楽しみになった私。今日も胴着に着替え、道場に入る。 今日は居るかな…、居た、飛鳥だ。 「おーい!」 手を振る。飛鳥は私に気付き、組み手?をしていたパパの門下生達を振り切って私の元に駆け付けた。 「ハァ…、ハァ…、助かった!よお!」 この元気一杯な男の子は天川 飛鳥。一月くらい前に家の道場に入門した子で、ずっと通ってくれてる。 今まで同年代の子が居なかったからパパに組み手は禁止されてたけど、飛鳥が入ってからは毎日が楽しくなった。 組み手が解禁され、飛鳥と毎日じゃれあうように組み手をした。稽古が終わったらお話もした。 ずっと道場に通っていて、同年代の男の子と遊んだ事が無かった私にとって、多分一番仲がいい男の子だ。
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