─前線へ─

4/7
前へ
/63ページ
次へ
「大丈夫かユルゲン?」 「大丈夫です…」 俺は一緒に戦う"搭乗員だった"仲間の状態を確認する。 しかし思うにこの中に大丈夫でない者は一人もいないだろう。五体満足であることを言っているのか、それとも皆の状態を相対的に考えて言っているのか、どちらとも受け取れる回答をおれは聞き過した。 一昨日の晩からずっと寝ていない。頭がぼんやりしている。例えるなら風邪を患った感覚に似ている。いや、というより風邪をひいているんじゃないか?とも思えた。 一昨日の昼からまともな食事にもありつけてない。 そんな状態で神経の磨り減る戦場を絶えず走っているのだから疲れるのは当然だ。 三人とも身心共に衰弱している。 「…いつまで続くんだ…」 俺は煩わしさを募らせて愚痴を溢してしまった。 指揮官という地位にいて部下の前で真っ先に愚痴を溢すなんてみっともない! ふとそんな感情が頭を過る。羞恥心を感じたので外を見てくる素振りをして一旦二人から離れることにした。 ─ヒュン 風切り音がした。
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加