序章:ノットロマンティック

2/7
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
桜の花びら舞う、ぽかぽかした陽気が気持ち良い昼下がりの午後。 誰もいない学校の屋上で、ぼんやりと過ぎゆく時間。 ……なにもない時間。 なんとなく、周りのみんなが行くからというだけで決めた高校進学。 もしかしたら、この選択は間違いだったのかもしれない。 やることの意味を全く見いだせない授業での勉強に、ちょっとしたことですぐ壊れてしまいそうな、その場限りの薄っぺらい友情。 俺は、学校というものに心底飽き飽きしていた。 「……つまんねぇ」 誰に言うわけでもなく、俺は仰向けになったまま、眼前に広がる青空を眺めて言った。 青い青い、どこまで続くのかわからない、澄み渡る空。 自由に広がり続けるその姿を見ると、俺は自分のちっぽけさが、さらに嫌になっていった。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!