一章

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「まぁ、負ける訳なんてないから勝負を受けて、私は勝った」 「……」 銀十郎の目が動揺を隠しきれず、さ迷う。 「でも、生涯仕えさせるなんてあまりにも横暴な主従関係でしょう?だから十年だけという契約にしたのよ」 「……」 「それなのに、銀叉は今も私の傍にある……銀叉の意志がそうさせているのなら、私は受け入れるだけ」 「……親父が、人間であるお前を……」 「昔の話よ。当時は銀叉も一人身だったしね」 「……」 「銀十郎は奥さんいないの?」 「……俺にそんなものはいらない」 「ふーん」 そしたら、ハ百年も家族を作らず一人で生きてきたのか。
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