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時は平安。
それはもう、千年も遥か昔の事。
未熟者だった私は傷を負い、とにかく疲弊していた。
……己の黒き翼で羽ばたく事が出来ぬほどに。
鞍馬山烏天狗衆頭領が長子。
それが、私だ。
次期頭領となる者は、百年人形(ヒトガタ)をとる事が許されず、烏の姿で人間界に下り修行をする。
五羽に一羽はその辛い修行に耐えられず、命を落とすという。
……私もその一羽、というわけだ。
「死ぬのか……烏」
「……」
「死ぬのか……烏よ」
……ぼやけた視界に映るのは、まだ年若い人間の女。
何故、このような山奥に……
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