一章

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銀叉には千年前にたまたま喧嘩を売られ、見事私が勝利したから主従の関係を結んだ。 それからずっと銀叉は私の子々孫々に仕え、こうしてまた巡り会う事が出来た。 「すぐに京都の鞍馬山に行きたいんだけど、大丈夫?」 「抜かりない、と言いたい所だが……」 「?」 「今回は私の息子を連れて行ってもらいたい」 「……息子って、どれよ?」 銀叉には、七十七の子がいて東北各地をくまなく統べている。 「銀十郎だ」 「……てことは十番目の息子か」 「そうだ、銀十郎は息子の中でも特に血の気の多い大馬鹿者でな。いまだに妻がいつも手を焼いている」 「え……秋草が?」
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