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余りに単純で呆気ない感覚を感じた靖彦には倒したという実感が湧いて来なかった
「やったのか?オレは」
黒いハットを被る黒野は既に荷造りを済ませて注意深く廊下側の壁に亀裂を作り倒れ込む中国人男性を警戒していた
「さてと…オレはこっから立ちさるとしますかね」
「待てよッ!!」
眉間にしわを寄せながら面倒臭そうに振り向く黒野
「何だよ?」
「弟の智彦に手を出したのか?」
数秒の沈黙、明日は我が身と常にアンテナを張り続けていた黒野
「一応、聞くが次の答えでお前はどうする?」
靖彦は右足を引いて目の前の相手と如何に効率的に戦うのか思考する
「ッんなもん、決まってんだろうが!!」
靖彦はただ、弟の安否が気になって仕方なかった。彼は機会化された左腕を振るいその拳を室内の壁に叩き込み十字型の深い亀裂を作った
「成る程な。どうやら、お前の左腕や右足は感情により大きな変化を表すみたいだなクソガキ」
黒野は常に冷静沈着で近藤靖彦という人物を分析し続けていた。
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