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「気になるんだ、リーダーが」
そう言って、唖然としている緋さんに向き直した。
「やっぱり、変だと…思う?」
さっきまで俺の顔を凝視していた緋さんは、そう訊いた俺から目を逸らし、ぶつぶつと口ごもる。
そりゃそうだよな、どう言っていいか分かんないよ。
もし橙乃なら呆れるか、関心が無いか。
翠羽ちゃんなら、意外と(?)常識人だから引くか。
緋さんなら親身になってくれそうな気がしたんだ。
勝手に思い込んで、悪かったな。
「いや、気にしないで。ちょっとこう、季節のせいかも。すぐに終わるよきっと。こんな気持ち」
いたたまれなくて、話しを終わらせようとした。
「違うよ、菫。俺、そういうのは別に否定しないよ。男でも女でも、人を好きになる気持ちに、良いも悪いも。ないだろ?」
話しをしてくれてる間、急激に感情が膨らんで。
泣きそうになっていた。
そう言って貰いたかったんだ、俺。
本当はね。
最初に会った時から惹かれてた。
彼に。
まだ背も小さい、世の中を何も知らないこんな時から。
「ありがとう、緋さん…」
初めて、リーダーの事を想って人前で泣いた。
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