624人が本棚に入れています
本棚に追加
/324ページ
添えた指先を這うように彼の耳元まで上げ、俺は碧君の口の中奥深く舌を挿し込んだ。
温かい。
唾液さえも甘いと感じる彼と、しばし今夜の予兆を感じさせるような、そんな濃密で倒錯してしまいそうなキスを何度も繰り返した。
飲み込んでしまいたい。唾液だけじゃなく。
貴方の全てを絡み取って。
愛してるんだよ、碧君。
「俺も」
唇がほんの少し開いた瞬間、碧君が呟いた。
え?
俺、何も言ってないよ?
ちゅ。と。
音を立てて唇が離れた。
「碧、君?」
思いがけなく激しくなったキスで、息が荒くなってる。
碧君もだけど。
「俺も好きだから。大丈夫だよ、緋くん」
包み込まれそうに優しい眼差しの碧君を見て、俺は不覚にもまた泣きそうになっていた。
最初のコメントを投稿しよう!