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シャワーを浴びて、体中に付いた潮の匂いを洗い流す。
今日は緋くんに沢山甘えちまった。
釣りなんて、本当はそんなに好きじゃないと思う。
だけど、嫌な顔一つしないで付き合ってくれる。
優しいんだ、緋くんは。
「碧君、いつまで入ってるのー?」
ドアの向こうから緋くんが俺に呼び掛ける。
普段俺はカラスの行水で、10分もかからない。
今日は少し長め。体を隅々まで洗いたかったから。
「緋くーん!」
彼を呼ぶ声が風呂場にぐわんぐわんとこだました。
遠退いていた緋くんが、なにー?って大きく返事を寄越す。
「緋くんも入って来いよ!」
たまにはさ。
一緒に浴びようぜ。
そしたら、あんな事もこんな事も、色んな事。
してやるよ。
「わかった!碧君、待ってて!」
俺の提案に慌てる緋くんが可愛いくて。
俺はドアの向こうへ微笑みかけた。
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