L.R.2nd

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6月19日、午後18時、視聴覚室前。 「真実君の言う通り、呼んできたよ。」 俺は愛衣と希望を連れて、殺害現場である視聴覚室前に来ていた。 「有り難う、ナナちゃん先生。」 東雲の死体発見時、ここに集まった教師達を連れてきてもらった。 「どうして俺達は呼ばれたんだ?」 「…推理ショーでもするつもり?」 立原と九条先生が俺にそう聞いてきた。 「九条先生、やっぱりエスパーだろ?」 「犯人が分かったって事…!?」 「探偵ごっこか…?下らない…。」 立原が呆れたようにそう言った。 「漫画や小説じゃないんだから。  いちいち焦らす事じゃないでしょ?  真実君は誰が犯人だと思ってるの?」 ナナちゃん先生…、楽しそうだな…。 「その前に1つ聞きたい…。  俺がいつも保健室に居た事は、  他の先生達も知っていたのか?」 「あなたは問題児だからね。  それを知らない先生は居ないわ。」 答えてくれたのは九条先生だった。 言い振らしたのはあんただろ…? 「…事件当日、俺は保健室に居た。  それを知っていた先生は?」 「教員なら全員知っていたと思うけど?」 今度はナナちゃん先生が答えた。 ならば…、間違いない筈だ。 俺は向き直り、そいつを指差した。 「…立原先生、あんたが犯人だ。」 「何を馬鹿な事を…。」 立原は踵を返し、背を向けた。 「彼は片桐先生の受け持ちでしたね?  自分の生徒が警察の真似事をしていて、  気がつかなかったんですか?  どういう指導をしてるんですか?」 …ナナちゃん先生の名字、片桐だったな。 今やっと思い出した…。 「仰るとおり、私は彼の担任です。  そして、もし彼の言う通り、  立原先生が犯人だとしたら…、 “あなたに言われたくありません。”」 「片桐先生は本気で俺が犯人だと…?」 「生徒を信じるのが教師の務めです。  私は、彼を信じます。」 2人の教師が火花を散らしている…。 というか、当人は名前すら覚えて無かったが…。 「立原先生も片桐先生も、  取り敢えず、彼の話を聞きましょう?」 「まさか九条先生まで…?  人としての品格を疑いますね。」 「犯人扱いされては心外でしょう?  まずは、彼の話を聞いてから、  反論があるなら言えばいいんです。」 九条先生が諌めてくれたので、何とかその場は落ち着いた…。 立原は未だに憤りを隠せない様子だ。 まぁ…、無理もないが…。
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