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L.R.5th
「立原先生…、本当なんですか?」
九条先生は信じられない様だった。
「それこそ言い掛かりだ!!
証拠でもあるのか!?
東雲と付き合っていた証拠が!!」
立原が険しい表情で激昂する。
「東雲の担任まで把握していたのは、
私的な親交があった証拠だろう?」
「たまたま知っていただけだ!!
そんなものが証拠になるか!!
そもそも犯人はお前の方だろう!!
俺に罪を擦り付けようとして,
そんなこじつけをしてるんだろ!?」
その時、前触れもなく視聴覚室の扉が開いた。
「逆ギレとは往生際が悪い事で。」
…聞いた事のある声、聞き慣れた声。
「何で…、おばさんがここに…?」
俺も愛衣も希望も…、予想外の人物の登場に当惑している…。
「な、何なんですかあなた!!部外者は…!!」
「待って下さい、九条先生。
念の為に、私が呼んでいたんです。
中で話を聞いてもらってました。」
ナナちゃん先生が…、呼んでいた…?
「だ…、誰なんだ、あんた!!」
「私はその子の母親で、
大神崎友香里と申します。
いつも息子がお世話になってます。」
あまりにいきなりの急展開に、誰1人…、口を挟めずにいた。
「この写真…、何だか分かりますか?」
お袋が立原に1枚の写真を突き付けた。
「…何だ、これは。」
「保健体育の先生ならご存知でしょう?
胎児の写真…、見るのは初めて?
被害者が病院で撮った写真ですよ。」
「…つまり、東雲は妊娠していた?」
「勿論、DNA鑑定は済んでる。
母親は東雲夏帆、父親は立原正樹。
はい真実、これ鑑定書ね。」
受け取った用紙に目を通す…。
詳しい事は分からなかったが、確かに両者の名前が記されている。
「お袋…、こんなの何処で…?」
「…そこはノーコメント。
それで…、まだ言い逃れする?
ようやく観念したのか、立原はゆっくりとその場に座り込んだ。
東雲夏帆と立原正樹は恋人だった。
肉体関係もあったそうだ。
そして…、東雲は妊娠した。
自分が妊娠したと分かると、すぐに病院に行き中絶した。
だが東雲は、その時の費用を非合法に借りていたのだ。
その事を立原に相談しようとしたが、妊娠していた事は知られたくなかった。
急に金を要求してきた東雲を、立原は自分を脅迫していると捉えた。
…故に殺した。
これが事件の顛末だった。
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