1. 明晰夢

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慎「どうしようも無い事だってあるんだ」 親父「そう…か」 親父も写真の方に目をやった その顔はさっきとは違い悲しさは見えなかった 親父の顔はただ“無”だった 親父「でもな慎…俺はお前に」 慎「悪りぃ。遅刻するし俺もう行くわ」 親父「あ、あぁ。気つけてな」 親父が発しようとした言葉の続きを聞きたくなかった 俺は…いつまでたっても許せずにいる 俺自信を…。 慎「親父…明晰夢て知ってるか?」 親父「おう。あれだろ?夢と気付いている夢の事だろ?」 慎「……俺にとったら…皆笑っていたあの頃が明晰夢みたいだ」 もう戻らないあの頃 叶わない夢 分かち合えない兄妹 そんな俺等の運命が少しずつ少しずつズレてきていた
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