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ーーそれからしばらく
私は食欲もなく痩せ細っていったけど、豊がいつも優しく支えてくれた
赤ちゃんのことは胸にしまい、また二人で仲良く暮らして行けるよう前向きな気持ちになった時
二回目の妊娠が発覚した
…今度は初回みたいに手放しで喜べない
きちんと安定期に入るまでは豊以外には誰にも告げないようにした
前回の流産少なくても両親もショックだっただろうから…母は買ってきた育児品を全て物置の奥の箱にしまった
今回は前回よりも順調で
悪阻も始まりかけたその時……
また悪夢が再び現れた
胎児の心音が途絶えた
16週目の出来事だった…
会社にいる豊に短いメールをした
『赤ちゃん…ダメだった』
そのあと会計を済ませて病院から帰ろうとしたら
待合室に豊の姿…
どこから走ってきたのか汗びっしょりで…
「豊?どうしたの?」
「…今日はもう上がった。莉子の傍にいるから…
だから大丈夫だから」
「豊…上がったってまだお昼だよ?…会社、くびになっちゃうんだから…」
「…莉子また一人で泣いてるんじゃないかと思ったら仕事なんか手に着かないし。先週大きな商談まとめたから大丈夫…
傍にいさせて」
「ありがとう…」
豊と手を繋ぎ…病院からバス停まで歩いた
涙は静かに流れて流れて…溢れ出す
バス停で止まらず黙って二人で固く手を握って…歩き続けた
。
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