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目を開けたら視界が真っ白に染まっていた。
白く装飾された部屋とか、病室のような常識的な白さではない。
それは異質と言っても差し支えない程に、辺り一面が白のみで染め上げられていた。
そんな長時間居れば気が狂いそうになる場所で目を覚ました俺は、一言だけ呟いた。
「知らない天井だ」
「いや、まず天井ないから」
取り敢えず冷静さを保とうと発した呟きに反応する声があった。
少し混乱している頭で今の状況を整理する。
目覚めたら真っ白い空間にいて、気配から察するに俺と声に反応したものの二人だけ。
そして最近暇潰しに見ていた携帯小説の展開から考えると....俺は死んだのか?
「いや、死んではないよ?」
また反応があった。
しかも今度は声に出していないにも関わらず。
....ふむ、事実は小説より奇なりと言うが、まさか現実逃避で考えた事があながち間違って無さそうな雰囲気だな。
「現実逃避してるわりには結構冷静に考えているんだね」
「"慣れてるからな、こんな状況は"」
俺は一端思考を止めて、返事をしながら上半身を起こして声の主を見た。
「......ホタル?」
「節子、それドロップやない、おはじきや!」
「神よ、あれを見て大爆笑してしまった俺をどう思う?」
「人間のクズなんじゃないかな?」
なるほど、どうやらこのホタルっぽい光輝く球体は神であっているらしい。
まあでかさで言えば雷光虫ぐらいあるが。
「まぁ人間で言うところの神のような存在で間違ってないよ。
でもなんで確信してないの?」
「俺が見ていた小説ではこういうとき髭の長い老人か、絶世のイケメン又は美女が出てきていたからな。
ホタルモドキが出てくるものは今のところ読んだことないから疑ったんだよ」
まあ心を読んだり、訳のわからない空間に連れてこられたりしてるから、神かそれに親い存在なんだろう事は理解した。
「ああ、なるほどね。
確かに人が残す文献には神というものを擬人化させて出す事が多いけど、それは人が自分たちに理解しやすい形で作り出したイメージに過ぎないよ。
人って自分と違っている物、または者を畏怖したり差別したり、はたまた尊敬したりするでしょ?
だから自分たちに都合が悪い神は化け物の姿してたり、良い神は人の姿してるんだよ。
でなければ理解する事が出来ないからね」
「なるほど」
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