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俺の"とぼけた"言葉を聞いて、目の前の神は顔もないのに愉しそうに笑っている気がした。
「だからさっき言ったじゃないか、"知らないことはない"って」
「.......なるほどな」
じゃあさっきまでの"さぐりを入れた芝居"も俺が勝手に一人遊びしてたってだけか.....滑稽だな。
「君がやっていた"本心を別に置き、偽りの心で相手と会話をする"技術は凄かったよ。
まるで多重人格を意図的に作り出してるようだった」
「俺が生きてた場所じゃあ心を読んでくる奴がいたりしたからな、そういった奴への対策がないと生きていけないんだよ」
「簡単に言ってるけど、そんなことが出来る者なんてそうそういないよ」
「そうかよ。
けどお前そこまで分かってるということは、心眼じゃなくて"真眼"が使えるのか?」
真眼なんて今まで一人しか見たことないぞ...... まあ本当に神であるなら不思議なことでもないが.....
「僕は真眼なんて持ってないよ?
何度も言うけど僕は"知ってるんだよ、何もかもを"」
「.......」
.....やはりこい「つは危険だ、はやく処理した方がいい....かな?」
「.....ッチ」
やりづらい
あの真眼持ちのクソ巫女と話してるみたいで腹が立つ。
「あんな絶世の美少女をクソ呼ばわりなんて、君は隅に置けないねぇ(笑)」
「お前分かってて言ってんだろ。
....取り敢えずお前相手に駆け引きなんざ無意味だと分かった。
じゃあ単刀直入に言うが、俺を元の世界に帰せ」
「すまないが今は無理なんだ。
君が必要だからね」
「俺程度の奴じゃなくても、変わりなんていくらでもいるだろ?」
「残念だけど、他に適任者はいないんだ。
君以外にありえないと言っても良いぐらいにね」
「...お前の頼みとやらが終わったら、本当に元の世界に帰すんだろうな?」
「約束するよ。
大丈夫、神様は嘘つかないから」
「その昔、何度も騙されたけどな」
「あんなインチキ神達と一緒にしないでよ。
だいたい神が嘘つく必要ないでしょ?」
「あぁ、その言葉もすでに一度聞いた」
つーかお前わざとやってねぇだろうな?
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