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「俺、嬉しかった」
雅彦は顔を上げニコッと笑う。
「は?
怒られて嬉しいって……いつからそんな趣味に」
雅彦……。
海外に行ってそういう趣味になったのか。
まぁ、人の趣向をどうのこうの言うつもりはないけど……。
「違う違う。
ヤキモチやいてくれたのがだよ」
ブンブンと顔を手を振って雅彦は言う。
「は、恥ずかしいじゃない」
色んな意味で。
また早合点してしまった。
何でこんなにあたしは空回りするのかしら。
「大好きだよ、詩織。
ありがとう。
そして、お誕生日おめでとう」
雅彦はあたしに優しくキスをした。
「あり、あり、ありが……ありがと……」
あたしの目からボロボロと涙が滝のように流れてくる。
「よ~しよしよし」
あたしの頭を雅彦がぐりぐりと撫でる。
「子供扱いしないでよぉ……」
あたしの頭を撫でる雅彦の手をあたしはギュッと掴んだ。
「詩織の涙。
何か懐かしいな」
そう言って雅彦はあたしを覗き込む。
「ばかぁ……。
雅彦はそうやってクサクサな事ばかり言うんだから」
あたしは軽く雅彦の胸にパンチをかます。
「うんうん。
いつもの詩織に戻った」
あたしの拳を掴み雅彦は笑う。
「心配してくれてたの?」
あたしは意地悪っぽく言う。
ホントはちゃんとわかってる。
雅彦、心配してくれてるんだって。
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