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「ははっ。
あたし、何くさくさな事言ってるのかな。
頭の中、ショートしちゃったのかもね」
あたしは笑って誤魔化す。
笑う要素なんてこれっぽっちもないのに……。
「……ごめん。
不安にさせて……。
待たせて……。
ごめん……」
ギュッ……
強がるあたしを雅彦が抱きしめる。
雅彦の汗の匂いと上がった体温が伝わってくる。
「べ、別に怒ってないもん。
……ばかとは言ったけどさ」
あたしは雅彦をそっと離した。
何だか照れ臭い。
「俺、一人前になったら詩織を迎えに来るよ」
スッ……
あたしの手に冷たい感触が伝わる。
冷たく少し重いこれは……。
「え?」
あたしは左手を見て驚く。
あたしの左手にはキラキラと輝く。
指輪だ……。
サイズもピッタリだ。
「結婚しよう。
これからは結婚前提で付き合おう。
姫川 詩織(ひめかわ しおり)さん」
顔を真っ赤にして雅彦は言う。
こんな雅彦、見たことがない。
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