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繁華街の路地裏、相手の拳が頬を掠める。
その一撃をやり過ごした青葉竜太はガラ空きになった相手の鳩尾に自分の拳をめり込ませた。
ぐぅ、というくぐもった声を出して相手はその場に崩れ落ちる。
今ので七人目。
竜太の周囲には呻き声を出して学ラン姿の少年達が横たわっていた。
「まだ、やんのか?」
竜太はそう言うと、ぺっと血の混じった唾を吐き出す。
竜太の前にいる少年達は残り五人。
あっという間に半数以上の仲間をのしてしまった竜太を前に明らかにびびっていた。
しかし、彼らにも意地がある。
「 てめぇ、中坊のくせしやがって!!」
そう、竜太は中学生であり、相手の少年達は高校生であった。
たった一人の中学生相手にぼこぼこにされたとあっては、今後一切、この辺りで大きなカオをすることはできない。
彼らにもメンツがあるというわけだ。
ふぅ、と一息つくと、竜太は一歩前に臆することなく踏み出す。
中学指定の学ラン姿、そして人目を引くのは金色の短髪と左耳でキラリと光るピアスだ。
竜太は、少年達に向かって右拳を前に構えた。
「来いよ。」
そう言うと、竜太は不敵に嗤う。
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