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それでも漸く、アナタは目的地に辿り着く事が出来ました。
全く同じ教室が並ぶ中、そこだけがアナタにとって特別な場所なのでしょう。
震える手で、教室の扉に手を掛けます。
そこに、想像していたような、否、期待していたような抵抗はなく、扉はあっさりと開きました。
アナタは覚悟を決めて中に入ると、ぎこちない動きで教室の中央に向かいます。
そしてそこで一呼吸吐くと、辺りに視線を巡らせました。
ゆっくりとした動きで。
何もない事に、漸く安心したのでしょうか。アナタが少し安堵の表情を浮かべた、その時です。
アナタの視界の端に何かが映りました。
アナタはゆっくりと、そう、非常にゆっくりと、頭を巡らせます。
そして、こちらを見ると、その表情が凍り付きました。
それは次に恐怖に歪み、半開きになった唇からは、人間のものとは思えないような音が発せられます。
ですが、その耳障りな音はすぐに聞こえなくなりました。
何故かって……?
それは、アナタ自身が知っているでしょう?
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