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「空間に保存で良いかな」
指で地面に囲むように四角を書き、次の瞬間に囲った酒瓶が全て消える。
「おお、空間属性の持ち主か。楽でいいのう」
「お嬢さん、枷を外しますので」
「えっ!? それには、毒針が!」
女の子の言葉を無視し、枷を壊す。
「えっ、ええっ!?」
「はい、終わりました。ではどうしますか?」
「ふむ。後少しじゃから待て」
そう言って十数秒、建物を揺らす程の爆音が響いた。
「転移……は、やはり無理じゃな」
「では自分が。空間換え」
女の子を抱き、爺を掴むと三人と裏口の空気を入れ替える。
成功して良かった~。
「ふむ、転移妨害に錯覚を起こしたのか」
「はい、意外とすんなり行けた事にビックリですが」
「あ、あのっ!」
抱いていた女の子が声を上げる。
「助けて頂いてありがとう御座います!」
「いえ、自分は買われた方の良いと思う事をしたまでです」
「儂はただ孫のプレゼントをロハで用意しようとしたまでじゃ」
「でも、助けて頂いた事に変わりはありません! なにかお礼を!」
お礼の押し売りだろうかと言うほど、グイグイ迫ってくる。
「自分はありません」
「儂もそれほどなぁ。
…………そうじゃ! だったら、孫の友達になってくれぬか?」
「友達……ですか?」
「帰る場所があるなら、いろいろ便宜を謀るが、無いなら家にこんかのう?」
俺は面倒だからついて行くし、女の子の都合次第かね。
「はい。帰る場所がありませんのでお願いします」
「そうかそうか。儂はジュナイ・ファイアボルトじゃ。お主らはなんと言う?」
「名はありません」
「フーラ・フェミリアです」
「名が無いとは不便じゃの。孫につけて貰うと良い。そいじゃ着いてこい」
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