プロローグ

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色覚障害。 色を識別することができなくなる目の病。 俺の左目はその病に侵されている。 昼でもその左目で見る景色はまるで夜のように暗闇に包まれている。 ぼんやりと形がわかるだけだ。 しかし、夜にその左目で見る景色はなんとも不思議なのだ。 色は識別できない、でも何故か形ははっきりとわかる。 まるで、輪郭が光で浮き出ているかのよう。 そう、夜では、光をはっきりと認識することができる。 右目との景色が重なるので、気分が悪くなる。 常に眩暈があるといっても過言ではない。 だから、俺は眼帯をしている。 その眼帯が目立たないように髪もある程度伸ばしている。 暗い感じと言われても否定しようがない、という見た目。 そんなレッテルまで貼られたらもうそうするしかない。 まあ、周りがどう思おうと関係はない。 いや… もとより関係なんて作る気なんてない。 きっと、俺なんかに関わっていいことなんてない。 ………。 それなのに、何故だろう…。 俺はこんなにも、孤独を怖がっているのだろうか…。
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