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別にあたしは、髪を染めてているわけでもないし、めちゃくちゃ地味というわけでもないと思う。
髪は背中まで垂らしたロングストレート。スカートだってひざ上10センチ。この学校はそれが元々のスカートの長さだ。特にいじっていない。
そんなことを考えていると、ツインテール姉妹がむくりと立ち上がる。
息がぴったりのこの二人に、まだ慣れない乙葉は肩を揺らす。いきなり立ち上がらないでほしい。少し驚いた。
すると、姉のレイラが口を開く。
「考えすぎ、乙葉」
そして、妹のルシファーがあたしの頬をつねる。
「そんな顔してたら、面白いことが乙葉から逃げてくよ」
「い、痛いよルシファー」
彼女たちはまたしゃがみこむ。
つねられた頬はジンジンするけど、彼女たちが心配してくれたのは痛いほど分かるので、黙って話を聞く。
「最近なにかあった?」
レイラは言葉数が少ない。日本語が得意ではないからだと思う。
最近、か。
あると言えばある。二年生として新しいクラスになってから一カ月。普通なら慣れてくるであろうこの時期に、担任があたしたちを無視するようになった。
あたしは少し、気にしている。
何に対しても、気にしていないようにふるまっているけれど、本当のところ、あたしは誰かにどう思われているかが少し気になる性格だ。
だけど強がる。悟られてはいけないのだ。悟られれば、きっと今のように温厚にはすまされない。
人は弱い者をいじめたがる。いじめようとするやつを無視すれば、高校生なのだから、中学の時ほど悲惨な状態にはならないであろう。
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