1304人が本棚に入れています
本棚に追加
「執弓(とりゆみ)、仕事に戻っていいよ」
「承知致しました」
社長に言われて執事らしき人は部屋を出て行った。執弓さんというのか。
「折反くん…だいじょぶ?」
「へ!?は、はい大丈夫です」
呆然としていたら隣に座る百合野さんに心配されてしまった。いかんいかん。
「さて、君にはこれから我が社の事を知ってもらわねばならない」
向かい合わせの席に社長が腰を下ろした。どっかりと脚を組む姿も何だか品があって、今朝の出来事が夢だったんじゃないかと思う。
「うちはちょっと特殊でね。百合野、資料を」
「はいはーい」
百合野さんの鞄から分厚い書類が出て来た。
社則なんかが細かく書いてあるようだ。一応目を通してみる。
「そこにある通り、うちは服装自由だ。スーツを着ろとかいう規則はない」
「なるほど…」
「ただし」
社長が一瞬、鋭い視線をこちらに送ってきた。思わず体に緊張が走る。
最初のコメントを投稿しよう!