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それから、クロは思い出したように、あっ、と呟いた。
「そういえば……ここに来るまでにアトリエを通ったんだけど、そこに、庭が見える窓があったんだ。あの窓から外に出て、そのままお城を脱け出せないかな」
「お庭の見える窓……そんなの、あるんだ。けど無理だよ。ここの窓、全部開けられないし、割ることも出来ない。
それに、お庭に出ても……きっと出られない、よ」
ソラは申し訳なさそうに、ぽつぽつと言葉を紡ぐ。クロは、そっか、と肩を落とした。
「けど、」
ソラが、クロの手をきゅっと握った。
ぐにゃり。
握られただけなのに、視界が歪んだような気がした。なんだろう、今のは?
「そんな窓があるんだったら、庭になら出られるよ」
え?
クロの疑問を覆い隠すように、ソラの青空色の瞳が閉じられた。
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