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「!わ、」
「きゃ、」
しかしーーーまだ準備ができていなかったらしい足は膝から砕けて、体が前へとつんのめる。手をつないだままだったソラも引っ張られて、よろめいていたクロの背中に、ドシッ、と、とどめの頭突きを食らわせた。
バタリ、と、一緒に庭に倒れこむ。
急に飛び込んできた土の香りが鼻をくすぐって、むず痒い。クロの口元が、綻んでゆく。背中に乗っかっていた重みが慌てたように離れて、クロの肩に優しい手が触れた。
「ごめんね、クロ……!大丈夫!?」
「ソラ、」
クロは、ソラの手を握った。
そして、起き上がるなり、キラキラした目をソラに向けてーーーぎゅっと、ソラの手を両手で握りしめた。
「すごい!!すごいよ、ソラ!!さっきまでアトリエにいたのに、あのセカイで庭に出たらこの世界でも庭に出てた!!」
「え、あ……うん、そういうものなのよ、セカイは……。そんなにびっくりした?」
「うん!すごいよ、ソラ!」
勢いよくうなずいたクロの顔は、満面の笑顔だった。ソラは青空色の瞳をまん丸にしてクロを見つめ、それからクスッと笑った。
「そっか。……そっかぁ。役に立てて、……良かった」
ころりと、鈴が転がるような、やわらかな声。クロはこっくりうなずいて、すくっと立ち上がり、ソラに手を差し出した。ソラは微笑んでその手を取り、立ち上がる。
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