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庭には光が溢れていて、花壇らしきものからはみ出した花や、自然と生えてきたらしい雑草もそこかしこに溢れていた。
緑、白、でほぼ埋め尽くされている景色に、ソラの青いワンピースと長い髪が揺れる。
「ねぇ、ソラ」
「?」
「さっきのセカイ以外にも、セカイはあるの?」
「あるよ。光や音のセカイは、とっても綺麗なの。色は不思議で、香りは不気味」
「あのセカイは、この世界と別のものなの?」
「んーと……。この世界は、色や音や、さっきの香りみたいなセカイが重なって出来ているの。わたしは、その一つ一つをバラバラにして、それぞれに存在出来るんだよ」
「ふぅん……?そっ、かぁ……。」
「あはは、分からないよね」
ころりころりと、鈴が転がる。
耳に心地いい笑い声が不意に止んで、ソラは噴水のそばにしゃがみこんだ。
「分からなくていいの。とにかく、手をつないで、見たいセカイを言ってくれたら、わたしが行ける限り、クロをセカイへと連れて行くから……。きっと役に立つから、いつでも言ってね」
そうして、ソラは立ち上がり、噴水の水を少し掬い上げて、えいっ、と空に撒いた。
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