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きらきら。
優しい太陽の光を反射させて、透明な雫は地面へと降り注ぎ、染み込んで行く。自然と目がその一部始終を追って、しばらく、ぼんやりと地面を眺めていた。
これからどうすべきだろう。
漠然とした問いが、頭の中で渦巻く。出口を探すために動いている、という目的を見失ったわけではない。けれど、何をすれば良いのか分からない。
庭を見回してみても、どこまでも草花が生い茂るばかりで、扉や門のようなものは見当たらない。ーーーアーチなら、そこらじゅうに佇んでいるが。
「ねえ、ソラ」
こんがらがりそうになった頭が、無意識にソラに助けを求めた。
「なぁに?」
「えっと、……あ、歩いて行こうか。とりあえず、奥まで」
「うん」
ててて、と近寄ってきた彼女に、すっと手を差し伸べる。小さな手のひらがその手を包んで、二人は歩き出した。
鬱蒼と生い茂る草花が足元を撫でて行く。あの花の名前は何だろう、そんなことを何度か考えた。対照的に、花や草を指差してソラが放つ言葉は、簡単なものだった。
「あの花はきれい。あの花は不気味」
どんな名前か、どんな種類か。それよりもまず、彼女は彼女のセカイの中の花を楽しむ。それから、「あれは何て名前かな」と、ころころ笑うのだ。
花の名前なら、クロの頭にも僅かばかりだが引き出しが残っていた。
「あれはマリーゴールドだよ」
「マリーゴールド?知ってるんだ」
「うん、きっと、見たことがあるんだと思う」
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