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皆それぞれ、カウンターへ向かうと、そこには色々な料理が大皿に並んでいた。
守川は一番カウンターに近い席で、芳しい香りが嫌って位に鼻を擽られていた。
守川は最後尾に並び、皆、トレーを持ち、自分の順番を待つ。
前に立って居たのは、あの赤沢だった。
守川に気が付いたのか、振り返るとしゃがみ込み、口に手を添え、守川の耳に唇が近づく。
「あのさ、ここはバイキング形式だけど、食べる分だけ取れよ?じゃねぇと、きっつーいお姉さんが睨み効かせっからな?」
コソコソ話すから、何かと思えばそれだった。
と言うか、それは当たり前では無いのだろうかと心の中では思ったが、それがここのルールだと思い、こくりと頷くと、赤沢は笑い掛けると先に料理に手を出していた。
(ここの料理作る人は怖いんだなぁ‥)
何気なく、料理を取りつつ、中を伺ったが、そこには綺麗な女性が居た。
だけれど、少し顔はきつい感じで、赤沢の言った通り、怒ったら、怖そうだったので、軽くお辞儀し、その方のお手製料理を何品か皿に盛り、自分の席へと座った。
「守川君、飲み物は、後ろのガラスケースに入ってるから、好きなのをグラスに取って来てな?」
周囲に目配りがきく黒渕が、守川に声を掛ける。
「は、はい」
皆はもう食べて居るので、静かに椅子を引き、後ろの冷蔵ケースに向かう。
色々な飲み物が入っていた、牛乳、スポーツ飲料、ミネラルウォーター、果汁100%ジュース‥、扉を開けずに迷いつつ、水の入ったペットボトルを取り出し、コップに注ぎ、また席へと向かった。
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