束の間、の春休み。

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束の間、の春休み。

雀が朝を告げ、騒がしく鳴いている。 暖かい日差しもカーテン越しから差し込んで来る。 目覚ましは仕事をせず、ただ、時間を指していた。 むっくり起き上がり、洗面所へと足を運んだ。 用を済ませると、眼鏡をしつつ、フラフラと出口を開くと、鍵すら閉めていない、ドアから勢い良く誰かが侵入してきた。 「おっはよーっ!良く眠れたか?」 馬鹿明るく出て来たのは赤沢先輩‥基、穂武良先輩。 働かない頭を徐々に頭を回し、色々思い巡らせてみる。 『今日約束なんてしたっけ?』 『まだ二度寝は大丈夫だろうか?』 等が頭をぐるぐる回って居る。 「‥お早うございます、穂武良さん‥約束なんてしましたっけ?」 まだ眠って居る眼をこすりつつ、頭を掻き、多分高血圧だろう穂武良に問いかける。 「いや、俺が勝手に来た、いやさぁ‥」 そうか、勝手か。 と思い、守川はぺこりお辞儀をすると、またベッドへと足を向けて進み始めた。 それを見た、穂武良は慌てて、守川の目の前に周り込み、二度寝の被害を未然に防いだ。 「最後まで聞いてくれよ、あのさ、今日学校行くから、学校までの道とか、学校案内したいんだけど、どう?」 学校と言う単語が、守川の意識を眠りから覚まそうとしている。 「‥それはいいんですけど‥、ついて行って大丈夫なんですか?」 行くのは簡単だが、邪魔とか入学前だからとかあるのでは無いかと、頭によぎる。 「大丈夫、そんな事は全くないから、俺が証明するしな」 自信に満ちた笑みを浮かべ、男の守川にウィンクが流れて来たが、守川は見て見ない振りをしつつ、支度に取り掛かった。 「うんじゃ、玄関で待ってるからな?」 ピョンピョン飛び跳ねる兎の様に、出て言った。 守川は少し急ぎめで支度をし、玄関へ向かった。
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