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守川は少し急ぎ足で、適当な服を着ると、髪を洗面所の水で、寝癖を直すと、玄関へと向かった。
ドアを開けるとすぐに姿が見え、駆け寄り、声を掛けた。
「すみません、待たせて‥」
息を少し上げたので、立ったまま、少し休んだ。
「ああ、いいよ、急に俺が誘ったしな」
守川の肩を軽く叩くと、先に穂武良が歩き出した。
「で、学校には何の用事なんですか?」
置いて行かれない様に、歩幅が狭い守川は、穂武良のペースに合わせ、少し早歩きで追いかける。
「いやぁ‥、ちっと単位が足らなくて、それを出しに‥」
苦笑いを浮かべ、目は空を泳いでいた。
あまり聞かれたくない事だったらしい。
「あ、すいません‥、先輩はスポーツ推薦で入ったんですか?」
一応、学校は偏差値が高く、男子学生に人気があり、名門高である。
普通入試では、かなりの倍率で、入れなく、推薦等ではないと安々とは入学出来ないのだ。
「ああ、バスケのな、本当、バスケやるしか脳が無いってのに、勉強は普通だからな‥、だから、単位が足んねぇのさ」
がっくり肩を落としているのを見て、要約大きな荷物を持って居るのに気が付く。
「もしかして、バスケットの練習も兼ねて行くんですか?」
バックを指指して、くすり笑ってみた。
休みでも、わざわざ学校に行ってやるなんて、本当にバスケが好きなんだなぁと分かった。
「ああ、時間が出来たらな?」
そうこうしてる間に、徐々に高い建物が見えて来た。
巨大に建てられていて、煉瓦で覆われていた。
緑色の木々も徐々に見えて来た。
どうやら、小さな村の集落程の規模の学校だった。
守川の受験は、自分の中学で、受けたので、学校がどんな所かは知らなかった。
知ってる事は一つだけ。
ただ、でっかい学校と言う事だけだった。
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