56人が本棚に入れています
本棚に追加
道路を挟み、住宅街とはまた別のふいんきを醸し出す横の建物。
塀伝いに歩いて行く、段々と一際大きな門が見えて来た。
蔦をデザインした黒く分厚い門が開いていた。
その門を潜ると、これまた大きな校舎‥、より市役所らしき建物が見えて来た。
煉瓦造りだが、古い感じではなく、寧ろ洒落た造りだった。
赤い煉瓦、繋ぎには黒いセメントを使っていて、その校舎に映える校内の生い茂る緑の木々。
ふと、横に目をやれば、悠々と車二台通れる道路。
ここは学校では無く、一つの街だと守川は思った。
無駄に大きいからだ。
「こんな所物珍しいか?」
呆気に取られ、穂武良が居ることすら忘れてしまい、我すら忘れる所を引き戻し、足を前に出し。
「え?ええ‥。こんな所、繁華街のデパート位しか見たことなくて‥」
あんまりいい例えではないが、こんな事しか例える物が無く、自分はまだまだ子供だと苦笑いしていると、案の定、穂武良は腹を腕で支え、口元を手で被い隠していた。
「ちょ‥っ、先輩笑わないで下さいよっ、どうせ田舎育ちで悪かったですね」
守川は機嫌悪く、口を尖らせ、穂武良を見ない様に反対側を向いた。
また、失言をし、笑う顔を見ない為だ。
最初のコメントを投稿しよう!