束の間、の春休み。

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道路を挟み、住宅街とはまた別のふいんきを醸し出す横の建物。 塀伝いに歩いて行く、段々と一際大きな門が見えて来た。 蔦をデザインした黒く分厚い門が開いていた。 その門を潜ると、これまた大きな校舎‥、より市役所らしき建物が見えて来た。 煉瓦造りだが、古い感じではなく、寧ろ洒落た造りだった。 赤い煉瓦、繋ぎには黒いセメントを使っていて、その校舎に映える校内の生い茂る緑の木々。 ふと、横に目をやれば、悠々と車二台通れる道路。 ここは学校では無く、一つの街だと守川は思った。 無駄に大きいからだ。 「こんな所物珍しいか?」 呆気に取られ、穂武良が居ることすら忘れてしまい、我すら忘れる所を引き戻し、足を前に出し。 「え?ええ‥。こんな所、繁華街のデパート位しか見たことなくて‥」 あんまりいい例えではないが、こんな事しか例える物が無く、自分はまだまだ子供だと苦笑いしていると、案の定、穂武良は腹を腕で支え、口元を手で被い隠していた。 「ちょ‥っ、先輩笑わないで下さいよっ、どうせ田舎育ちで悪かったですね」 守川は機嫌悪く、口を尖らせ、穂武良を見ない様に反対側を向いた。 また、失言をし、笑う顔を見ない為だ。
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