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四つの扉を過ぎた頃、要約加賀美の足が白いドアの前で止まる。
「今日からここが守川君の部屋だよ」
にこやかに振りかえると、銀色のドアノブを捻り、部屋が見えてくる。
中は至ってシンプルで、白いシャープな机、木製に白で着色された少し幅広いベッド、ガラス戸が付いた白の本棚、壁紙も無地の白、全て白で統一されていた。
「部屋はみんなこんな感じだよ、好きに移動させていいからね?」
守川が部屋へと入ると後ろから加賀美が入り、部屋中央に荷物を置いた。
「ああ、あと僕と寮長を除いた人達は夕方にでも紹介するね、明後日から新学期で、出払っているのが多いから」
だから静かだったのだ、と納得し、加賀美は手短に食堂の部屋を教えると「ゆっくりしててね」と言い残し、部屋を後にして行った。
「綺麗な部屋‥必要な物以外何も無いけど、‥落ち着く」
全開の窓から風が入るとレースの真っ白なカーテンがそよそよ揺れた。
「都会は男でも綺麗な人が居るんだなぁ‥、田舎とは大違いだなぁ‥」
初めてあった、女性の美しさを持つ加賀美、凛々しく、男らしい黒渕寮長。
二人を色々と思い浮かべつつ、他の寮生はどんな人だろうと新たに思い巡らせつつ、荷物を備え付けてあるクローゼットに服をしまい、参考書も机へと置き、自分だけの居場所となる、真っ白な一つの部屋を変えていった。
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