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だだっ広いエントランスには、大量の埃が溜まっていた。なんというか、生活感がないというか、なんというか。
「……ああ、姫海棠家は党首が随分と前に亡くなっていたんでしたか」
そうすると、愛娘である姫海棠はたてはこんな家でどうやって生活しているというんだろうか。
「……この家にいないとかだったら、いくら大天狗様と言えども……」
ギィィ。錆びた金具が擦れた音が響き、ドアが開く。するとそこには、茶髪をツインテールにした少女が居た。
「……だれ?」
何かに怯えるように、彼女はうずくまっていた。まるで、自分以外の何もかもを拒否するような、そんな雰囲気。
「……射命丸文。あなたの世話役ですよ」
「いらない。帰ってよ」
取り付く島もなかった。というか普通に拒絶された。
「大天狗様の命令ですから、そういう訳にもいきませんよ」
「知らない。余計なお世話だって言ってよ」
話をする気すらないようだった。なんというか……まぁ、そうか。この状況を見るに、ずっと一人きりだったんだろう。
誰にも頼れず。たった、一人きりで。
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